1997年度における研究・作業グループの活動報告 作業グループ リゾート開発と地域整備作業グループ 代表者 石原照敏 〔研究例会〕3月30日,15〜17時,於 東京都立大学,参加者12名. 池永正人(九州女子学園高):「オーストリア,チロル地方におけるグリーン・ ツーリズム」,溝尾良隆(立教大):「ドイツとオーストリアにおける農村リゾー トについて」 古気候復元作業グループ 代表者 吉村 稔 昨年度報告したように,このグループは初期の目的であるシンポジウムを,1996 年度秋季学術大会時(於岐阜大学)に開催した.その後,グループとしての取りま とめについて,意見を交換している.目下のところ,グループ構成員が単行本に共 著で書くことになる方向で検討している.若干,不確定の部分があり,予定が遅れ ている. 農業地理作業グループ 代表者 斎藤 功 本年度は以下の活動を実施した. 1.研究発表会を2回実施した. 〔第1回〕3月30日,於東京都立大学,参加者25名. 内山幸久(立正大):「中国における農業の発展と問題点」,永田淳嗣(東京大 ):「マレーシア農村社会の研究」 〔第2回〕10月12日,於 愛知大学豊橋校舎,参加者33名. 田林 明(筑波大):「IGUコミッション Sustainability of Rural Systems オ ーストラリア大会に出席して」,高橋 誠(名古屋大):「近郊農村の地域社会変 動をめぐる「農村性」の社会的構築について」 2.ニューズレター13・14号を発行した. 3.本作業グループは,農業地理研究グループ発足以来5年目に入り,この間IGU関連 プ発足以来5年目に入り,この間IGU関連の国際会議の開催という当初の目的の一つ を達成したので,本年度をもって終了させる.終了に際し,『地理学評論』に特集 号を組むべく原稿を募集している. 政治地理学作業グループ 代表者 斎藤 毅 政治地理学研究グループとしての3年間の活動を踏まえ,本年度からは作業グル ープに移行した.2年間の活動の後,1999年度にはシンポジウムの開催を予定して いる.本年度は2回の研究集会を持ち,ニューズレターを2回発行した.本年度の 研究集会では,ナショナリズムおよび海外地域研究に関する報告が行われ,新しい テーマの理解を深めることができた. 〔第1回研究集会〕3月30日,於 東京都立大学,参加者14名. 高木彰彦(茨城大):「最近の政治地理学の動向と作業グループの検討課題」, 山崎孝史(山口県立大):「新ナショナリズムの台頭と帰属空間の固定化」 〔第2回研究集会〕10月12日,於 愛知大学豊橋校舎,参加者12名. 浦部浩之(日本学術振興会特別研究員,筑波大・院):「民主化と経済自由化に ともなうチリ・ペルー・ボリビア国境地域の変化」 1998年度は,引き続き新しいテーマの吸収に努めるとともに,オーソドックスな テーマも検討してみたい. 研究グループ 地理情報システム研究グループ 代表者 高阪宏行 1998年度春季学術大会において,「GIS:その応用の可能性U」というテーマ でシンポジウムを企画した.8件の発表の申し込みがあり,1998年3月29日の午前 中にシンポジウムの開催が決まった. 地籍図類による景観復原研究グループ 代表者 滝沢由美子 本年度は研究例会を1回開催した. 3月30日,於 東京都立大学. 滝口昭二(中野木小):「千葉県各地の地籍図にみられる『出口』『入口』の研究」 研究発表の後,自由討議,情報交換が行われた.当研究グループの活動は,それ ぞれの研究メンバー が各地で行う日頃の調査,研究,啓蒙活動がまず中心にあり,それらを結びつける 場として,またその活動の拠点としてのものである.当研究グループの目的はいく つか挙げられるが,とくにその中の一つである,文化財としての地籍図類の保存・ 管理等についての啓蒙活動は重要である.その点においても,当研究グループの息 長い活動(研究例会・講演会・見学会などの開催および情報交換,自由討議等)が 必要であることが確認された. 大都市圏研究グループ 代表者 谷内 達 本年度における活動は,前年度に引き続いて,IGUの都市発展・都市生活研究委員 会の国内対応組織を念頭に置いた情報交換と自由討議が中心であった.春季学術大 会(東京都立大学)での研究集会では,藤塚吉浩会員(高知大)によるジェントリ フィケーションに関する話題提供を中心に活発な討議が行われた.また,秋季学術 大会(愛知大学)での研究集会では,IGUの都市発展・都市生活研究委員会の研究集 会(8月にメキシコシティで開催)に見られるような最近の国際的な都市地理学研究 における生活志向的・政策志向的な研究動向について討議が行われた.その結果, これらの動向に対応して,都市の居住環境および都市政策への展望を重視した研究 への努力が必要であり,そのためには新たな研究グループを発足させるべきである との結論に達した. 土地利用・環境研究グループ 代表者 土居晴洋 本年度は,研究例会を2回開催したほか,シンポジウムを開催した. 〔第1回例会〕3月30日,15時〜17時,於 東京都立大学,参加者17名. 菊地俊夫(東京都立大)・張 貴民(秋田経法大)・郭 煥成(中国科学院地理研究所) :「北京大都市圏における土地利用変化のドライビングフォース」 〔シンポジウム〕10月12日,9時〜12時,於 愛知大学豊橋校舎,参加者約90名. 「中国の土地利用変化と食糧問題」をテーマにシンポジウムを開催した.土地利 用のデータ整備手法や土地利用変化の実態,食糧生産の動向に関する6名の研究発 表が行われた.活発な質疑が行われ,日本地理学界におけるLUCC研究への関心の高 さがうかがわれた.詳細は『地理学評論(Ser.A)』第71巻第1号,62〜63ページに 記した. 〔第2回例会〕10月12日,15時〜17時,於 愛知大学豊橋校舎,参加者10名. 上記シンポジウムの総括,研究発表のとりまとめなどに関して議論を行った.そ の後,第1回例会と同様に,国際地理学連合土地利用・被覆変化スタディーグルー プの活動状況などLUCC研究に関する報告と意見交換がなされた. 空間と社会研究グループ 代表者 高津斌彰 1.本年度は,研究集会を1回,研究合宿を1回開催した. 〔第6回研究集会〕3月30日,於 東京都立大学,参加者21名. 岩佐賢史(法政大・院):「公共事業を巡る地域的対立の解釈−−『こどもの国 線通勤化』を事例として」,浅妻 裕(一橋大・院):「社会運動の空間論的考察 −−三井三池と四日市を事例に」 〔研究合宿〕11月14日〜15日,於「サンヒル阪南」,参加者8名. Kim Duk-Hyun(金 徳鉉;国立慶尚大学校師範大学教授/統一問題研究所長):「Creation of a Symbolic Place in the Democratization of Korea」,Choi Byung-Doo(崔 炳斗;大邱大学 校師範大学副教授):「Retrospect and Prospect : the Development of Critical-Alternative Geography in Korea」 2.ニューズレター 11,12号を配信した. (ホームページアドレス http://econgeog.misc.hit-u.ac.jp/society_and_space.html) 産業の地理学研究グループ 代表者 上野和彦 本研究グループは,産業地理学研究者同士の自由な議論と情報交換の場として, 昨年度に引き続き,国際化を中心的なテーマとして研究例会を2回実施した. 〔第8回例会〕3月30日,於 東京都立大学,参加者22名. 上野和彦(東京学芸大):「地場産業の行方と説明原理−−静岡県別珍・コール天 織物産地を事例に」 〔第9回例会〕10月12日,於 愛知大学豊橋校舎,参加者18名. 朴 玄(東京大・院):「企業の輸出行動の空間的展開に関する地理学的研究 −−釜山企業の輸出行動を事例に」,水野真彦(京都大・院):「日本の機械産業 における企業間取引の地理学的考察−−部品の海外調達の問題を中心に」 今年度をもって,当研究グループは解散するが,今までの報告者を中心として, 研究のまとめを行っていく. 都市災害研究グループ 代表者 松田磐余 本年度は次の集会を行った. 3月30日,於 東京都立大学,参加者6名. 今後の研究グループの活動について.松田磐余(関東学院大):「地震災害調査に ついて」 10月12日,於 愛知大学豊橋校舎,参加者11名. 増田 聡(東北大・経済)・村山良之(東北大・理):「住民意識から見た防災 型土地利用規制の受容可能性」. 1997年度春季学術大会の際に行った研究グループの集会で,当研究グループは阪 神・淡路大震災を契機に発足し,一応の役割を果たしたが,新たな研究目標を設け てグループ活動を継続することが,了承された.また,地震災害に限らず広く都市 災害を扱うことにし,数年後に研究成果をまとめるという方向を模索している. 地理思想の伝統と革新研究グループ 代表者 栗原尚子 昨年度,次の集会を行った.いずれも有意義な集会となった.第7回には,国内 外の地理思想の問題点について議論した.第8回には,戦後の地域研究を再検討し た.文化人類学や民俗学など関連分野の研究者も多数出席し,参加者は40名を越え た.第9回には,最近の学説を批判的に紹介・議論した. 〔第7回〕4月26日,於 お茶の水女子大学,参加者25名. 共通テーマ「地理思想史」. 栗原尚子(お茶の水女子大):「スペインのラディ カル地理学の軌跡」,源 昌久(淑徳大):「福沢諭吉著『世界國盡』に関する一 考察」 〔第8回〕7月12日,於 お茶の水女子大学,参加者45名. 共通テーマ「戦後の地域研究」.中俣 均(法政大):「戦後沖縄の地域研究に ついて」,熊谷圭知(お茶の水女子大):「戦後日本の地理学者による第三世界地 域研究の方法論と認識論をめぐって」 〔第9回〕1月10日,於 お茶の水女子大学,参加者16名. 共通テーマ「学説の再検討」.成瀬 厚(東京都立大・院):「場所の行方−− 近年における場所論の批判的検討」,金井 年(大阪産業大・非):「大坂石山本 願寺寺内町の空間構造−−最近の学説を中心に」 海岸・沿岸域の環境動態研究グループ 代表者 海津正倫 本年度は以下の活動を行った. 〔研究集会〕3月30日,於 東京都立大学,参加者17名. 以下の話題提供があり,活発な質疑が行われた. 河名俊男(琉球大):「タイ・マレーシアにおける完新世海面変動研究の現状」 ,貞方 昇(北海道教育大):「インド東海岸沖積平野形成の諸問題」,小池一之 (駒澤大):「国際地理学会海岸システム委員会について」 本研究グループはIGBP-LOICZ,IGCPなど国際プロジェクトへの対応を考慮して発 足したものであり,これらの国際プロジェクトに関する情報をメンバーに提供して いる.また,1997年10月には本研究グループの活動と関連する「アジア・西太平洋 地域における第四紀環境変動に関する国際シンポジウム」(日本地理学会後援)が開 催され,本研究グループのメンバー数名が発表を行った. 地生態学研究グループ 代表者 横山秀司 本年度は以下の活動を行った. 1.第3回集会:3月30日,於 東京都立大学,参加者4名. 開催時間帯に地形・気候関係発表が重なったため参加者が少なく,予定していた 年間活動報告,会計報告などは行えなかった.翌日の研究集会の打合せのみ実施した. 2.第1回研究発表・討論集会:3月31日,於 明治大学,参加者61名. 以下の14の発表があり,活発な討論が行われた. 苅谷愛彦(地質調査所)ほか:「月山の主稜線上における通年気象観測」,GENET(高山 おける通年気象観測」,GENET(高山の植生と環境の研究グループ):「木曽駒ケ岳に おける夏季の気候環境」,会田民穂(北海道大・院)ほか:「大雪山,高根ヶ原の“ しっぽ状植生”」,高橋伸幸(北海学園大):「温度観測からみた大雪山高山帯の自 然環境」,渡辺梯二(北海道大)ほか:「夕張岳,前岳湿原の保全・管理のための 地生態学的研究」,松林 武(東北大・院):「丘陵地小流域における植生単位と 微地形単位の重なりとズレ」,三浦 修(岩手大):「丘陵地の植生パターン形成 における侵食前線の意義」,梅本 亨(明治大):「気温観測からみた八丈富士の 植生成立条件;八丈島は寒波の影響を受ける暖温帯の海洋島か?」,室伏多門(東 京都立大・院):「マングローブ林の成立と維持に関わる地因子について」,西城 潔(宮城教育大):「ヒマラヤ,チベット地域における近年の地生態学研究」, 長谷川裕彦(明治大・非):「地生態学図の作成に関わる諸問題」,山口史枝(東 京都立大・院):「植生分布を決めるものは何か?」,高岡貞夫(東京都立大): 「植生研究からみた「地生態学」への期待」,岡 秀一(東京都立大):「『気候 景観』は再生する」 3.第1回研究発表・討論集会報告書の作成・頒布 上記集会における14の発表のうち寄稿された13の研究成果と総合討論の内容をま とめた『第1回研究発表・討論集会報告書:日本における地生態学研究の現状と課 題』(68p.)を作成し,希望者に実費(1,000円)頒布した(残部有り). 4.以下の3地域で合同調査を実施した. 大雪山:8月1日〜3日,参加者7名.北アルプス立山:8月13日〜17日,参加者20名. プス立山:8月13日〜17日,参加者20名.北アルプス常念岳:8月18日〜25日,参 加者10名.10月8日〜12日,参加者16名. 5.「地生態学研究グループ通信」Vol.2-1〜2-3を発行し,関係会員106名に郵送 した. |