1999年度活動報告 近代日本の地域形成研究グループ (代表者 山根 拓) 目的: 本研究グループは,明治期〜第二次世界大戦期までのいわゆる「近 代日本」が,マクロ〜ミクロのさまざまな空間スケールで,いかなる地域形 成・地域変容を経てきたのかという問題に迫り,近代日本の実像を地理学的 に解明し再構成しようとすることを目的とする.明治維新から130年,第二次 世界大戦敗戦から50年余を経た今,近代日本という空間はすでに同時代的な 研究の対象ではなく,歴史地理学的な研究の対象に変わってきた.また,日 本近代は,現代日本の地域・社会構成の基礎的な枠組やコンテクストを構築 した時代として,より広く深く考証されるべき対象でもある.したがって, 本研究グループでは,近代日本という時空間的な大枠を設定した上で,各参 加者が,新しい歴史地理学的なアプローチを意識しながら,さまざまな時期, さまざまな地域,さまざまな対象について考察を進めつつ,相互の研究成果 を交流させて,より深化した総合的な近代日本像を描き出すことを構想して いる.さらに,研究グループで蓄えられた成果が,地理学の中にとどまらず, 隣接他分野の研究にも架橋する内容を備えられるよう意識して活動を行って ゆきたいと考える. 〔第1回研究集会〕 3月27日,於 専修大学生田キャンパス,参加者10名. ビジネスミーティングを行い,研究グループの運営について検討した. 〔第2回研究集会〕 4月29日,於 法政大学,参加者15名. 山根 拓(富山大):「近代期の地域形成をどのように捉えるのか−− LantonとGregoryの論争をめぐって」 〔第3回研究集会〕 5月30日,於 法政大学,参加者8名. 森田朋子(江戸東京博物館):「幕末期における領事裁判権−−日本におけ る西洋国際法の受容」,青木隆浩(東京大・院):「Journal of Historical Geography 25-1 掲載論文の傾向」 〔第4回研究集会〕 7月3日,於 法政大学,参加者11名. 山下範久(東京大・院):「近世地域システムと世界図」 〔第5回研究集会〕7月31日〜8月1日,於 富山大学,参加者13名. 共通テーマ:『近代日本』の地理学的研究の新しい方向性について,川崎俊 郎(福島工高専):「銀行店舗の展開からみた地域性と地域間関係」,河野敬 一(常磐大):「近代都市への地理学的視点」,山田志乃布(法政大):「近 代日本の内国植民地論と近世・近代北海道」,岡島 建(国士舘大):「近代 河川水運研究の課題と都市運河開発について」,中西僚太郎(千葉大):「近 代日本の鳥瞰図の解読へ向けて」,山根 拓(富山大):「最近のJournal of Historical Geography誌からみた英語圏歴史地理学的アプローチの動向」〔 巡検〕8月1日,高岡・伏木巡検.案内者:岡島 建・山根 拓,参加者10名. 〔第6回研究集会〕 9月18日,於 東京学芸大学,参加者8名. 大島登志彦(高崎経済大):「近代日本の地域交通の課題と地理学」 〔第7回研究集会〕 10月10日,於 四国大学,参加者14名. 椿 真智子(東京学芸大):「下総御料牧場にみるモダニティの変容−− 近代的風景観の成立に関する一試論」 〔第8回研究集会〕 11月19日,於 奈良女子大学,参加者15名. 宮崎良美(奈良女子大・院):「同郷・同業者団体のネットワークの形成と その規定要因」,小畠邦江(神戸大・院):「民芸の展示と産地の表象」 〔第9回研究集会〕 12月23日,於 東京学芸大学,参加者10名. 金井 年(大阪府立池島高):「八尾寺内町の近代化−−官公庁の立地の問 題を中心に」 〔第10回研究集会〕 1月29日,於 東京学芸大学.参加者16名. 中西僚太郎(千葉大):「旧満州地方の歴史地理学的研究の可能性−−現地 予備調査報告」,米家泰作(愛知県立大):「Journal of Historical Geography and Transactions of the Institute of British Geographers 1999年の傾向分析」 〔第11回研究集会〕 2月20日,於 東京学芸大学.参加者10名. 香川雄一(東京大・院):「近代における日本の公害問題」 |