氷河作用研究グループ (代表者 平川一臣) http://glacier.ees.hokudai.ac.jp/ 目的:現存する氷河,氷床の氷底〜氷河縁辺の調査・研究は1970年代以降, とくに1980年代を通じて著しく進んだ.それらの知見を取り込みつつ,過去( 氷期)の氷河作用(氷河地形,氷河地質)の理解も急速に深まっている. これに対して氷河のない日本では,氷河地形・氷河地質の研究はほぼ地理学 会および第四紀学会に所属する地形研究者に委ねられてきた.1970年代には日 本アルプスや日高山脈において一定の成果が得られたが,それ以降の研究は活 発であるとはいえない.しかし,研究者についても,研究地域についても限ら れてはいるものの,いくつかの重要な研究が行われてきた.さらに,カムチャ ッカ・シベリアなど極東の氷河調査の経験から,氷河周辺の堆積物を通して日 本の氷期の氷河を想像・解釈し,復元する試みもなされつつある. このような当該研究の背景の中で,とくに最近の数年間において日本の氷河 作用研究の機運は少しづづ高まり,関係者の研究会などにおいて新しい見解や 重要な野外での記載・解釈が紹介されるようになった.本学会の2000年度春季 学術大会において,シンポジウム「日本列島の氷河地形の問題点を探る」が次 代を担う若手研究者を中心として組織されたのもその潮流の一つである.今後, この流れを受けて日本の氷河作用の研究を発展させるためには,国際的・学際 的な研究の進展を十分に理解し,室内においても,野外においても共通認識に 立つことが重要である.以上のような状況を考慮し,本研究グループ発足を申 請することとした. この研究グループでは,以下の活動を行う. 1.氷河作用に関する共通認識を得るために,先行研究のレビューを行う. 2.参加メンバーの研究において得られた重要な現象の記載・解釈の紹介・ 検討を行う. 3.重要な現象(地形・露頭)については,現地で観察・検討を行う. 4.氷期の日本の氷河像を探る上で参考となる現存氷河(海外)を選定し, 研究課題の洗い出しを行う. |