流通地理研究グループ

              (代表者 荒井良雄)



 

 目的:昨今,国内の商業・流通分野における産業構造は急速に変容し,商業

集積のあり方,店舗・営業所など拠点の機能や配置,そして拠点間を結ぶ物流

・商流などのフローに大きな影響をもたらしている.こうした変容には,消費

者行動の変化をはじめ,一連の規制緩和に象徴される産業政策の転換,産業全

体への高度情報技術の浸透など,内的・外的な多くの要因が影響しており,地

理学の分野においても,こうした変容をとらえた研究が積極的に行われている.

 いうまでもなく,商業・流通業は,一定の商圏を成立条件とする立地産業で

あり,小売業・卸売業の販売額が地域経済に占めるウエイトや,都市の空間構

造に対する商業集積の影響力を視野に含めるとき,それらの急速な構造転換が,

地域に多面的な影響を与えることは論を待たない.このため,商業・流通の今

日的な変容を地理学の視点からとらえ,研究の深耕を図ることは大きな意義を

持つものといえよう.

 本研究会では,主に流通システムの経済的側面に注目しながら,地域研究,

企業調査,国際比較などの視点を通じて,商業・流通業の空間的変容をとらえ

ていきたい.具体的には,年に数回の研究会を開催して,研究発表ならびに情

報交換の場にするとともに,関連分野の研究者や企業の実務者をも含めた広範

な議論を通じて,研究の進展を図っていきたい.