2007年日本地理学会秋季大会
緊急ポスターセッション


概要報告

発表者(所属)
演  題
要  旨
八幡 啓(首都大・院)・上條孝徳(首都大・院)・畠山 久(首都大・院)・中村優太(駒沢大・学)・山崎晴雄(首都大) 地形的要因からみた2007年新潟県中越沖地震の建物被害 ―柏崎市中心部を事例として―
 2007年7月16日発生の新潟県中越沖地震において、我々は建物被害と地形・地質条件の関係を解明するため調査を行った。調査範囲は古くからの柏崎市街地のうち沖積面と砂丘の境界部に設定し、全建物の被害程度を記載した。被害の特徴から、調査範囲内の建物被害拡大の要因は、地震に伴う砂丘斜面のすべり(側方流動)にもあると結論付けた。(発表ポスターはこちら
鈴木康弘(名古屋大)・渡辺満久(東洋大)・中田 高(広島工業大) 2007年新潟県中越沖地震の震源域の活構造  柏崎刈羽原発の設置許可申請書に掲載されている、中越沖地震の震源域の音波探査記録を判読して海底活断層分布を明らかにし、従来の活断層評価の問題点を検討した。また陸域の活断層も再検討し、原発が活褶曲の背斜部に位置し、今回の地震時に活褶曲が成長した可能性もあることを明らかにした。
村山良之(山形大)・川村宇史(東北大・院)・阿部圭太(東北学院大・学) 柏崎市の地形改変地における地震被害  他の事例と同様に、切盛境界付近と盛土部に被害が集中した。朝日が丘と向陽町は道路や建物の被害程度が大きく、一部に盛土部の滑動も認められたのに対して、ゆりが丘は被害程度が軽いがそれでも切盛境界部で道路亀裂や水道管破裂が発生した。一方,西南郊の新赤坂や米山台では被害程度は、ゆりが丘と同程度かそれより軽い。
津沢正晴・宇根 寛・雨貝知美・藤原みどり・鈴木 啓・西村卓也(国土地理院) 測地観測・SAR干渉解析と震源断層モデル  陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の合成開口レーダ(PALSAR)の干渉解析(2007/09/14−2007/06/14)により、2007新潟県中越沖地震(M=6.8,2007/07/16)の震央から約15km離れた西山丘陵の西斜面付近に、長さ約15km、幅約1.5kmの帯状の隆起域を見いだした。地震前後に実施した西山丘陵を横切る水準測量からも、この領域の隆起が確認される。
(発表ポスターはこちら:その1その2
宇根 寛・矢来博司・飛田幹男(国土地理院) SAR干渉画像による地形変化の抽出  被害の著しかった柏崎市街地周辺を「だいち」のSARで詳細に観察すると、@市街地の南側に連続する崖に沿って東西走向の変動パターンがみられ、崖に沿って地盤が側方流動した;A砂丘上に立地する市街地の中央部に、ところどころ流動化を示すパターンがみられる;B沖積低地には部分的に側方流動を示す場所がみられる;などがわかった。
小荒井衛・佐藤 浩・北原敏夫・宇根 寛(国土地理院) 建物被害と地表変動の分布と土地条件との関連性について
関口辰夫・木佐貫順一・坂井尚登(国土地理院) 電子国土を活用した災害状況図の提供  国土地理院で撮影した空中写真により、新潟県中越沖地震の災害状況を抽出した。また、応急的に地形分類図を作成して災害状況とを重ね合わせた。その結果、建物の倒壊や液状化は、砂丘やその南側の低地及び低地との境界付近、自然堤防上に集中していることがわかった。そして、これらの結果を国土地理院の電子国土Webシステムにより提供した。(発表ポスターはこちら
福留邦洋(新潟大) 新潟県中越沖地震における建物被災と再建課題
金 幸隆・岩崎貴哉・佐藤比呂志(東京大) 西山丘陵の変動地形・地質構造と2007中越沖地震