発表番号,発表タイトル,発表者(学校名),発表要旨
(発表者中の下線は筆頭発表者)
01 タケコプターが地方都市に与える影響―コンパクトシティの実現―
濱野圭吾(札幌光星高等学校)
(発表要旨)
国民的漫画である「ドラえもん」に登場するひみつ道具の1つであるタケコプターは頭につけるだけで空を自由に飛ぶことができる近未来的な移動手段である。本論では、タケコプターの実用化がされた場合、それが現代社会、とりわけ地方都市にどのような影響を与えるかを考察する。そのために、タケコプターの特徴を徒歩や自動車と比較し、「移動範囲」、「輸送量」の2つの観点から、モータリゼーションが地方都市に与えた影響を例にして考察した。結論として、タケコプターの行動範囲は自動車よりも小さく、輸送量も少ないことから、それぞれの住宅地域に狭い範囲で商業施設等が立地すると考えた。このことは近年世界的に注目を集めているコンパクトシティ構想を実現させるだろう。そして、タケコプター実用化によるコンパクトシティ化は地方都市の多くの問題を解決するはずだ。一方で、タケコプター実用化に対する批判的視点も指摘した。
02 キリスト教三大宗派を信仰するルーマニア
黒川柚花(宮城県仙台西高等学校)
(発表要旨)
ヨーロッパ東南部に位置するルーマニアでは、キリスト教三大宗派であるカトリック・プロテスタント・正教会が信仰されている。また、2002年と2011年の国勢調査から宗派と民族の分布がほぼ一致していることがわかる。ゆえに、ルーマニアの宗教は、周辺国からの民族移動と深い関わりがあるのではないかと仮定し、具体的にどのような関わりがあるのかを、文献調査により明らかにしたい。 東ゲルマン系民族は、東方正教会を信仰し、150~200年にポーランド・ウクライナを経由してルーマニアに移動しルーマニア人となった。ハンガリー人はフン族の子孫であり、カトリックを信仰していた。ロマ人はオスマン帝国に支配された後、正教徒やムスリムとして移動してきた。以上のことから、ルーマニアは民族移動の際に中心となる場所にあり、民族移動が活発に行われた場所であったため、現在もその影響を受けて多くの宗教が信仰されていると考えられる。
03 なぜ仙台市の町内会の加入率は区ごとで大きく違うのか?
近藤くるみ(宮城県仙台西高等学校)
(発表要旨)
近年、町内会の未加入者が増えている話をよく聞く。仙台市の町内会の加入率の変化はどのようになっているのか興味を持った。震災前後では町内会の需要を感じた人々によって加入率が変化するのではないかと仮定し「仙台市町内会等実態調査(平成27年度)」を参考にしながら仙台市の町内会の特徴を文献調査、聞き取り調査により明らかにしたい。 仙台市の町内会の加入率は76.7%で、区ごとで一番加入率が高いのが泉区の85.7%、一番低いのが青葉区の72.1%になっている。 集合住宅が多い地域は人の入れ替わりが多く、戸建住宅が多く居住年数が長い地域では人の入れ替わりが少ない。さらに仙台市では集合住宅が多い地域より戸建住宅が多い地域の方が町内会に加入している人が多いという調査結果も出ている。実際に仙台市内では青葉区の社会増加数が最も高く、泉区が最も低い傾向があると考えられる。
04 みどり台は仙台市に含めることができるか
長田康生(宮城県仙台西高等学校)
(発表要旨)
私が住んでいる名取市みどり台は位置的に仙台市と近く、ベッドタウンとして機能していることなどから仙台市の一部といえるのではないかと仮説を立て、歴史的背景および地理的立地、生活の観点から文献調査を行い、これを検証する。 みどり台は,新興住宅地が造られ今の形になってからの歴史が浅いことなどから仙台市の一部であるとは言い難い一方で、仙台市内のいくつかの新興住宅地と同様に丘陵地に立地することなどから,立地・機能的には仙台市の一部といえると考えた。しかし過去に仙台市は名取市や旧多賀城町などを合併しようとしたが、実現していない。これがもし実現し、みどり台が仙台市の一部となったとしても、財政の維持が困難になるなどの弊害が生じたのではないだろうか。これらを踏まえて、みどり台はあくまで名取市の範疇を出ることはないという結論に至った。
05 水紛争 ~ブラマプトラ川を巡って~
佐藤結子・杉崎萌々子・菅原音羽(山形県立鶴岡南高等学校)
(発表要旨)
今、世界中でSDGsが重要視されている。その1つである「6安全な水とトイレを世界中に」は水問題と関わりが深い。水資源に関わる問題は生命に関わることに加え、紛争の原因にもなっているが、同級生や家族の間ではその認知度は低い。私たちは水資源の問題がどう紛争につながるのか、解決策はないのか疑問に思い、仮説を立てて考察した。アジアの国際河川の1つであるブラマプトラ川は、中国やインドにとって大切な水資源であるが、水紛争が各地で起きている。私たちが考えた合意法は、インドと中国の会談の場を設け、まずインド側は中国の危険なダムの実態や活断層の問題、生態系を破壊するという根拠と事実を述べる。中国側は危険なダムを減少させ、生態系への影響・活断層による被害の想定を義務付け、ダムに関する情報を共有させ、それが達成できた場合のみ建設を認める。さらに、日本など第三者の立場から見て安全かどうかを見極めるというものである。
06 ムクドリのねぐらとハザードマップの関係性
田中祐介(埼玉県立朝霞高校)
(発表要旨)
毎冬、ムクドリの大群が自宅の隣りの竹林をねぐらにする。騒音と糞害が周辺住民を悩ませている。なぜ、ムクドリはこの場所を選ぶのか。日本都市計画学会「東京都区部におけるムクドリの集団ねぐらと周辺土地利用の関係」山内彩加ほか(2016)からわかる都内ねぐら6地点に、国土地理院「重ねるハザードマップ」を重ねて土地の特性を調べた。荒川区汐入公園では現地調査を行った。周辺に学校や団地があり災害時避難場所でもある汐入公園は、江戸時代には水運、近代では製紙工業の要衝であった。ハザードマップを見ると洪水や高潮被害が予想される地域だが、ねぐらの公園だけが安全地帯である。また、和光市役所環境課の聞き取り調査でわかった和光ねぐら3地点とハザードマップを重ねると、湧き水があり洪水や土砂災害の危険がない場所がねぐらに選ばれていた。今回の調査でムクドリは人間に害を及ぼす反面その行動で人間に土地の安全性を教えてくれているのではないかと考えた。
07 水害発生時の最適な避難行動の調査と提言
池田健太郎(開智未来高校)
(発表要旨)
私たちは水害時にはハザードマップを見て行動することが求められる。しかし、自分の住んでいる自治体が発行するものは見ているが、学校周辺や通勤通学時のものまで見ているという人は少ない。そのため、自宅以外で避難が必要になった際、ハザードマップの指示通りに動けるとは限らない。この問題を解決するために、実際の水害時にどのような行動を取るのが最適なのかを、校内や通学途中などの場面を設定し、調査した。調査方法として、学校周辺地域の地形的分類を行い、ハザードマップが示す浸水状況と比較することで、避難場所の位置が適切であるかどうかを調査する。また、フィールドワークを行い、通学路周辺の建物や公的施設などを調べ、生存の可能性を広げる方法を探究した。変化の激しい災害状況に即して、最適な避難行動をとることは難しく、場所、状況に即して、利用者に最適な避難行動を提供できるアプリや詳細なハザードマップの作成などを提案する。
08 千葉県松戸市矢切地域における都市農業の実態と課題
北澤一真(青山学院高等部)
(発表要旨)
本研究は、千葉県松戸市矢切地域の都市農業の実態と課題を明らかにしたものである。2021年8月、12月、2022年5月に現地調査を行い、年間を通して矢切地域で栽培されている作物を明らかにした。その結果、調査地域ではねぎとキャベツの栽培が盛んであった一方、休耕地や耕作放棄地も多くみられた。また、同時期に農家へ聞き取り調査を行い、高齢化や後継者不足などといった他の農業地域で見られる課題と同じ課題が矢切地域でもあることが明らかになった。
矢切地域で都市農業が維持されることは、地域の伝統やコミュニティを維持することにも繋がるため、重要であると考える。そこで、観光資源で集客力が見込める矢切の渡しの周辺に農作物直売所を設置すると良いと考えるが、実現されていない。このような点を含め、矢切の農業振興策の詳細については今後の研究課題である。
09 アイスプラントを用いた津波被害地域の早期農業復興計画
鶴野華苗・鳥海音奈・梅林奈央・麸谷菜々子(お茶の水女子大学附属高等学校)
(発表要旨)
東日本大震災で津波による塩害被害を受けた地域の復興の道筋を参考に、近い将来起こる可能性が高い南海トラフ地震による津波の塩害被害を予想し、早期復興策を提案することを目的とする。先行研究より、アイスプラントという植物が耐塩性、除塩性ともに優れていることがわかっているが、日本においてはまだまだ知名度が低い。アイスプラントは洒落た見た目が特徴で、食用だけでなく石鹸にも用いられ、非常に有用性が高い。そのため、塩害対策とともに、新たな特産品とすることで地域復興の目玉となる可能性がある。現在、実際に栽培し、温度・湿度等の生育条件を確認しているところであり、今後、除塩に必要な栽培回数などの試算を出したいと考えている。将来的には、津波による塩害被害地域ばかりでなく、塩害被害で困っている世界の農地を救う一手段として、提案したい。
(10は欠番)
11 下総台地における非対称谷の成因
石原瑛進(市川学園市川高等学校)
(発表要旨)
関東平野における非対称谷の研究には例えば貝塚(1964)や森岡(2008)などがあるが、はっきりとした要因がわかっていない地域も多い。そこで本研究では下総台地の木戸川と桑納川において、非対象谷の成因を明らかにすることを目的とした。
桑納川とその支流の木戸川の立体地形図を用いて地形判読を行い、また河床横断面図を作成して谷壁斜面の形成過程を考察した。結果、両河川共に、北向き斜面が緩斜面になるという貝塚(1964)が示した法則に従っていた。森岡(2008)の示した河川の合流地点における側刻は、木戸川の北向き緩斜面は南側からの河川流入が少なく、説明できなかった。
貝塚(1964)の提唱した霜柱クリープによる非対称谷の形成を考えるため、下総台地の非対称谷上にある下手賀川の南北両斜面の霜柱を観察し、比較した。霜柱の高さが北西向き斜面と南東向き斜面で大きな差があったため、凍結融解作用に大きな差があると考えられ、貝塚説を支持した。
12 桐光学園周辺におけるクールアイランドの観測と地球温暖化対策
岩槻 葵・佐々部倖乃・下村美喜・髙橋玲唯・三木梨瑚(桐光学園高等学校)
(発表要旨)
近年地球温暖化やヒートアイランド現象の対策として、樹木による日光遮蔽効果や葉面からの蒸散作用で周辺市街地よりも気温が数度低くなるクールアイランドが注目を浴びている。そこで私達はこのクールアイランドに着目し、学校周辺の緑地と市街地を対象にフィールドワークを行った。1分毎に温度と湿度を観測し、実際に緑地と市街地では温度と湿度に変化があるかを調査した。結果として市街地に比べ緑地では湿度が上昇し、それと同時に温度は数度下がった。また、地球温暖化やクールアイランドについて学校の生徒とその保護者、教員を対象にアンケート調査を行った。今回の調査により今後の地球温暖化やヒートアイランド現象などの対策に緑地化が有効であることが実証できたため、私達でも取り組む事のできる身近な屋上緑地や壁面緑化などの取り組みについて知ってもらい、未来の地球環境について考えてもらいたい。
13 アバターロボットを活用した地域格差解消実験
今泉実怜(山梨県立甲府第一高等学校)
(発表要旨)
〇研究目的
山梨県小菅村でドローン配送の社会実装活動を見学する機会を得た。そこで山村地域の生活の厳しさを知り、自分が当たり前にように送っている日常生活がいかに恵まれているかを実感した。新聞報道でアバターロボットの存在を知り、それを活用することにより、実感した地域格差を小さくできるのでは、と考え、その一部の解決策を探究し、提案するものである。
〇調査方法
令和3年11月~令和4年7月の間に、複数回の現地調査及び有識者ヒアリングを行った。また、早川町役場及び図書館、インターネットにて資料収集を実施した。
〇見えてきた課題
・医療格差
・進学・受験環境格差
・住民サービス格差 等々
〇解決策の提案
アバターロボットを活用し、
・ネットワーク医療を創出し、医療格差の減少を目指す
・効率的かつ経済的に受験に関するサービスを享受し、受験環境格差の減少を目指す
・更にドローンも活用し、 住民サービス格差の減少を目指す 等々
14 地方都市郊外に位置し特異な人口動態を示す農村地域の現状と課題 -三重県度会郡玉城町を事例として-
本橋 昂・百田幸太郎・石田佳奈美(三重県立松阪高等学校)
(発表要旨)
対象地域は人口減が目立つ三重県南部にあって、2015 年まで人口増が続いてきた。2019 年時点でも若干の社会増が見られ、同年の年少人口割合は三重県全 29 市町で 3 番目に高い。このような同町の特異性について、フィールドワーク、国勢調査・自治体調査等を通じて分析を行なった。その結果、転入動機より、近隣市からの転入者と近隣町からの転入者の意識に違いが見られ、玉城町の持つ特性として、農村地域と都市郊外の二つの性格が浮かび上がってきた。現在、全体として人口減に転じた同町では依然として人口流入が続く地区と、空洞化が目立つ町中心部の田丸地区との間で空間的な対比が現れてきている。同地区でも住宅造成により人口流入の続く場所と空き家の増加している場所があり、小規模なドーナツ化現象を確認することができた。今後の同町の地域振興を図る上では、異なる性格を持つ地区への個別的対応を同時に行うことが必要である。
15 地方都市に見られる中心商店街の現状と課題の探究
藤田葵子・中西柚名(三重県立松阪高等学校)
(発表要旨)
研究目的:松阪市中心商店街の現状と今後の振興についての課題を明らかにする。
研究対象地域:松阪駅南西部の旧市街地中心部の商店街
データ収集・研究手法:フィールドワーク、自治体関係者等への聞き取り調査、高校生アンケート調査等
結果・考察:松阪市調査資料の分析や関係者への聞き取り調査より、市中心部の高齢化率が高く、商店街の後継者不足が衰退の要因の一つと考えられる。また、高校生アンケートの結果から、高校生世代では市周辺部の大型商業施設の利用者の方が多いことが確かめられた。更に、同アンケートで、高校生世代に書店、楽器店等の一定のニーズがあることも分かり、これらのニーズに中心商店街が応えることができれば、今後の振興に役立つと考えられる。
16 歴史の街「松阪」の三つの顔-「城下町・宿場町・豪商の町」それぞれの関係性を探る-
藤田俐子・今出川綾音・北村光琉・山中琴羽(三重県立松阪高等学校)
(発表要旨)
歴史の街「松阪」の持つ三つの顔(城下町、宿場町・豪商の町)について、フィールドワーク、文献・聞き取り調査等を通じ明らかにする。蒲生氏郷が建設した松阪は、複雑な街路、魚町などの地名、寺の集中地区など、一般的な城下町の特徴を持つ。商業を重視した氏郷は近江や伊勢大湊から有力商人を移住させた。江戸時代には紀州藩の番城で藩主が常駐せず武家支配の弱い城下町となって商人が自由に活動でき、三井家に代表される豪商の町として発展した。これを支えたのが、周辺で生産された松阪木綿である。松阪木綿の原材料は販売初期は品質重視で、近隣産地のものを使用していたが、需要が高まるにつれ生産量を増やすため、他地域のものも使うようになった。最大市場である江戸での販売に特化し、京大坂とは異なる江戸好みの粋なデザインの商品を生産した。伊勢参宮の宿場町であった松阪は、全国から人や情報が集まり、斬新なデザインの開発に有利であった。
17 持続可能なコンテンツツーリズムにむけてー仙台市を事例にー
中谷 颯(洛南高等学校)
(発表要旨)
本研究の目的は,『ハイキュー!!』の舞台となった宮城県仙台市を事例に,持続可能なコンテンツツーリズムのあり方について検討することである.調査は,仙台市文化観光局や仙台市スポーツ振興事業団などへの聞き取り調査に加え,旅行者の意向を把握するために,洛南高等学校附属中学校の1年生から3年生を対象としてアンケートを行った.その結果,仙台市は『ハイキュー!!』の人気を市の魅力の認知へつなげたいと考えていること,「聖地」カメイアリーナの案内はボランティア団体が担っていること,また中学生の年代に関してもコンテンツを目的とした観光を考えていることが明らかになった.以上により,コンテンツを目的とする観光客が,コンテンツと関係なく観光地を再訪すること,および市民ボランティアの積極的な協力を得ることなどを実現できれば,コンテンツツーリズムが地域振興における役割を持続的に担えるといえる.
18 医療を活用した地域振興の可能性―京都府南丹市を事例として―
梶山智章・十倉悠一郎・阪上由夏(洛南高等学校)
(発表要旨)
本研究の目的は,医療を活用して地域振興をおこなう方法の提示である.このため,人口が減少し続けているにも関わらず,充実した医療体制を維持することができている自治体にはどのような特徴があるのかを,京都府南丹市を事例に調査を行った.調査方法は,RESASなどを使用した統計の分析,南丹市役所へ聞き取り調査である.調査結果として,南丹市の10万人あたりの医師数,一般病床数ともに全国平均を大きく上回り,一般病床数にあっては隣接する京都市をも上回る.この理由として,南丹市だけで大規模な総合病院が八木地区と日吉地区の2か所に立地していることが挙げられる.また市役所への聞き取りによると,南丹市では「平成の大合併」を経ても従来の医療体制を維持していた.結論として,南丹市は充実した医療体制を軸としながら,京都市への近接性もアピールすることで,新たな移住者の流入等が期待される.
19 神大附属エクストリーム通学マップの作成
稲岡慶一郎(神戸大学附属中等教育学校)
(発表要旨)
本校(神戸大学附属中等教育学校)に通うことができるのは兵庫県内と決まっていますが、もしその縛りがなくなった場合、どこから通学することができるのか気になり、時刻表を使ってその日のうちに通学可能な範囲を調べ、ArcGISを使ってどのように見せればわかりやすいかを模索しました。
今回の発表ではエクストリームマップ制作の過程に重きをおいて発表します。まずは時刻を乗り換えアプリを使って調べました。この作業には2週間程かかりました。その後、エクセルに駅名と時間を数値で格納し、csvファイルにしてArcGISに読み込ませました。その後、ArcGISでどのようにマップを加工すればそれがわかりやすく伝わるか検証したところ、時間ごとに色分けし、鉄道のレイヤーを背景にするとより伝わりやすいことがわかりました。
20 佐治漆の衰退要因と復興を実現するための条件についての考察
山根京子・石橋優実・広富愛奈(鳥取県立鳥取西高等学校)
(発表要旨)
能登の漆器や浄法寺漆は有名であるが、鳥取県鳥取市佐治町にも地域固有の佐治漆が存在している。佐治漆は1965年を境に漆液生産が停止し、現在は佐治漆研究会が佐治漆の復興に励んでいる。しかし、佐治漆は鳥取市のみならず佐治町内でもあまり注目されていない。本研究では、元漆搔きと現役の塗師から聞き取り調査を行うとともに、鳥取県立博物館所蔵の佐治町内の古絵図を分析し、また能登、浄法寺と佐治の漆液生産を比較しながら佐治漆の衰退要因を明らかにする。佐治漆の最大の衰退要因は漆掻きの消滅であると考えられる。①昭和20年頃、漆掻きは教員よりも稼ぎがよいといわれていたが、現在に近づくにつれて漆掻きよりも収入の良い職業が増え、漆掻きの後継者がいなくなったこと、②漆は古くて高いというイメージがあるため洋風化の波に乗れなかったことが要因に考えられる。このような調査を通して、佐治漆の復興が実現するための条件を考察したい。
21 高松市鬼無町における盆栽生産の地域性
上枝智陽(香川県立高松西高等学校)
(発表要旨)
発表者が通う高松西高等学校の周りには多くの盆栽畑がみられる。鬼無地区には、なぜ、数多くの盆栽農園があるのかについて、興味を持った。また、香川県高松市鬼無地区の盆栽について、その生産の背景を調べ、現在の地域活性化の取り組みについても考察した。鬼無地区の盆栽生産については、内山ほか(1982)などで詳細な研究がなされており、これらの文献を参考に、1940年代以降の空中写真などを用いて、戦後から現在に至るまでの土地利用の変化を読み取った。また、香川県鬼無植木盆栽センターなどにおいて、聞き取り調査を行い、盆栽の経営形態や販売形態について明らかにする。さらに近年における盆栽の海外輸出について、鬼無地区の盆栽農家に聞き取り調査を行い、その地域性について考察したい。
22 福岡市における人口増加の秘密
中村駿太(福岡大学附属大濠高校)
(発表要旨)
人口増加数一位、地方中枢都市として九州の経済を担う福岡市を支える要因とは何か。私は転入年齢別のグラフを見て若者層の過剰な流入だと考え、本研究ではそれらが福岡に転入する目的を教育機関の充実度の観点でアンケートや資料を元に探っていく。そして福岡市は政令指定都市の中で人口に占める学生の割合が京都市に次ぐ二番目で高等教育機関率が21都市(東京を含む)の中でも一位の為、多くの人が学生時代を福岡で過ごす事がここで分かる。これはなぜ福岡に教育機関が集中するのかという事に繋がり、結果的に地方中枢都市を中心に社会問題である地方格差を解決の糸口を見出すことが可能だろう。
23 地図×データで命を守る ~宮崎県内の津波被害者ゼロに向けたGISによる分析と現地調査~
児玉祐直・黒木海音・坂元 最・中竹美優莉(宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校)
(発表要旨)
宮崎県内の津波による被害想定や避難方法等について,GISによるデータ分析や現地調査を行い,その活動の成果を公共放送やSNSを通じて情報発信し,地域住民の防災に対する意識を向上させることで,宮崎県内における津波による被害者ゼロを目指している。GISによるデータ分析は主に「ひなたGIS」を活用して,避難施設の有無や人口増減,高齢化率,想定されるリスク等について,宮崎県内沿岸部の全ての市町村を町丁単位で詳細に分析した。その過程で,特に想定されるリスクが大きいと判断した沿岸部の2つの地区において現地調査を実施し,垂直避難や水平避難にかかる時間の計測や,津波避難タワー等の視察の他,地域住民への聞き取り調査を行った。高齢者や障害のある人にとっては津波が到達するまでに避難するのが難しい場所が存在することが明らかになるなど,GISによるデータ分析では分からなかったことが,新たに課題として浮かび上がった。
参考出展(国際地理オリンピック2022パリ大会日本代表のポスターを参考展示します)
Can we turn Marine Plastic into Money?
新山慶悟(宮城県仙台二華高等学校)・岩倉治輝(筑波大学附属駒場高等学校)・佐藤弘康(栄東高等学校)・森田晃弘(灘高等学校)