災害緊急速報
2004.12.26発生のスマトラ沖地震について |
2005.1.31 スマトラ沖津波災害のタイにおける緊急予察調査報告 海津正倫(名古屋大学環境学研究科) 2004年12月26日,世界を震撼させるニュースが飛び込んできた.スマトラ沖で発生したマグニチュード9の巨大地震と,それに伴う想像を絶するような津波災害のニュースである.1月18日より23日まで授業の合間を縫って現地へ出かけることがことができ,南タイのプーケット島から,北方へ約100 kmのタクアパ付近に至るアンダマン沿岸の被災地域を踏査する機会を得た.速報として,現地の写真を添えて報告する. 現地の被害状況にはかなり地域差があり,著しい被害を受けた所とそれほどでもないところとの違いがかなりはっきりしている.マスコミを通じて数多く報道されたプーケット島にはいくつかのビーチがあるが,その多くはかなりの被害を受けており,とくに,最も賑やかだったパトンビーチでは海岸域のレストランや商店,ホテルなどが著しく破壊されていた.破壊されたホテルの多くはまだほとんど手のつかない状態のまま残されていたが,商店の中にはすでに営業を始めた所もあり,復興の早さを感じた.ただ,背後の津波を受けなかった地域では以前と変わらない感じで人々が活動しており,被災地と無傷の地域が隣接していることに妙な違和感を覚えた. 一方,北部のナムケムという漁村のように,海岸に面した地域がほとんど壊滅的であるという所も存在する.ここでは,建物がほとんどすべて破壊され,残っている建物もまるで残骸のような状態であった.この付近だけで1000人以上の人たちが亡くなっており,被害の実態や要因の解明が強く望まれている.目下,タイ政府の機関や,南タイの拠点大学であるプリンスオブソンクラー大学との共同調査の準備を進めており,2月末には本調査のために再び現地を訪れることにしている.
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