災害緊急速報

2004.9.29発生の三重県宮川村土石流について
2004.10.7
三重県宮川村土石流災害 緊急予察調査報告および現場写真
海津正倫(名古屋大学環境学研究科)



 2004年9月29日に発生した三重県宮川村の土石流災害は多大な被害を引き起こし,現地では発生から1週間近くが経過してもまだ十分な復旧が進んでいない.このたび災害発生から4日後の10月2日に現地に入り,緊急の予察調査を行ったので,現場の写真にもとづいて現地の状況を報告する.
 現地の被害発生場所は山地斜面の直接的な崩壊によるものと,支谷より流下した土石流によるものとに分けられる.前者は山地斜面の表土層がきわめて多量の降雨によって重さを増し,崩落したと考えられるものであり,後者は支谷流域において堆積した崩落土砂等とともに流水が谷に沿って一気に流下したもので,その破壊作用によって支谷の谷壁では谷底から数メートルの高さにわたって自然林・人工林の植生が破壊されていた.現地には亀裂の入った斜面も存在しており,さらなる豪雨の被害が心配される.また,宮川本流に合流する支流の谷底は流域より供給された土砂によって著しく埋積され,本流との合流部付近ではそれらが激しく開析されている様子をみることができる.



1.宮川村唐櫃における斜面崩壊現場


2.山地斜面の崩壊によって倒壊・落下した民家(宮川村小滝)


3.支谷からの土石流によって破壊された民家(宮川村唐櫃)


4.土石流の通過した支谷(宮川村唐櫃)


5.支流からの土砂によって埋積された
宮川本流と浦谷との合流部(宮川村本田木屋)