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山川修治(日大・文理)・井上 誠(日大・院) |
2003年7〜8月の日本冷夏・欧州猛暑夏に関する総観気候学的解析 |
2003年夏季、北半球スケールでの天候異変の実態と成因を探る。偏西風が大蛇行し、ブロッキング域にオホーツク海高気圧とアゾレス高気圧の欧州張り出しを生じた。成層圏下層チベット高気圧(TH)の西方強化、東方弱化も一因だった。シベリア方面での成層圏オゾン層破壊の進行もいびつな極渦とTHの西偏に寄与したと考えられる。 |
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小池済夫(慶大・院)・山川修治(日大・文理)・井上 誠(日大・院) |
2003年7月19〜20日、九州豪雨の発生に関する総観気象学的解析 |
2003年7月19〜20日の九州豪雨について地上・高層大気解析から成因を探究する。九州中北部の収束・上昇気流域に沿ってtapering cloudが発達し、集中豪雨をもたらした。北方ではチベット東部多残雪、中国東北区の寒冷渦、オホーツク海高気圧、南方では台風7、8号縁辺発、黒潮流域経由の暖湿気流(湿舌)が成因に挙げられる。 |
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磯 望(西南学院大)・黒木貴一(福岡教育大)・後藤健介(学振特別研究員) |
御笠川水系の土砂災害と洪水氾濫-都市圏豪雨災害防止のための地理学的課題- |
本年7月19日、福岡市・太宰府市・飯塚市を中心とする北部九州では、集中豪雨による洪水氾濫・崩壊・土石流などで、各地に大きな被害が生じた。この災害の特徴は、近年都市化した地域の同一地点で同じ災害を繰り返していることなどにある。災害状況を示すとともに、都市圏ハザードマップの重要性について検討・報告する。 |
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小川紀一朗・沼田洋一・清宮大輔・千葉達朗・鈴木雄介・小野田 敏(アジア航測株式会社) |
2003年7月19-20日九州豪雨土砂災害 航空機レーザー計測による地形解析 |
2003年7月19-20日の集中豪雨により九州各地で土砂災害が発生した。そのうち、熊本県水俣市宝川内集地区、水俣市深川・新屋敷地区、鹿児島県菱刈町前目地区で発生した崩壊および土石流について、緊急空中写真撮影と航空機レーザー計測を行った。測定データより、樹木を取り除いた1mDEMデータを作成、さらにオルソ写真画像と赤色立体画像を使用して地形解析を試みたので、その概要を速報する。 |
5 |
西村卓也・今給黎哲郎・矢来博司・小澤 拓・村上 亮・海津 優(国土地理院) |
2003年7月26日宮城県北部の地震による地殻変動と断層モデル−測地観測データの総合解析結果− |
2003年7月26日7時13分に発生した宮城県北部の地震は、震源の近傍で顕著な地殻変動を伴った。国土地理院では、GPS連続観測及び繰り返し観測、水準測量、衛星干渉SAR等、この規模の地震としては前例がないほど稠密な地殻変動データを得ることが出来た。これらの測地データから、震源断層に関するモデルを作成した。 |
6 |
今泉俊文(山梨大)・佐藤比呂志(東大地震研)・加藤直子(東大地震研・ 院)・楮原京子(山梨大・院) |
宮城県北部の地震(2003年7月26日)の地表地震断層調査結果(約8MB) |
震源域・余震域にあたる鳴瀬町、矢本町、南郷町、河南町南部を中心に、地 表地震断層が出現したかどうかを確かめるために、主として旭山撓曲から石巻平野(南北方向の地質断層 が伏在すると考えられている)にかけて、アクセス可能な道路に沿って調査を行った(7月26・27日)。 その結果、明瞭な地表地震断層は確認できなかった。 |
7 |
鈴木康弘(愛知県立大・情報科学)・熊木洋太(国土地理院) |
2003年7月26日宮城県北部地震M6.2が提起した地震動予測と活断層調査の課題−地震動ハザードマップの観点から−(約3.3MB) |
宮城県北部地震の震度分布は,地震調査研究推進本部が2004年度末までに作成する「全国を概観した地震動予測地図」の試作図とよく合っていたが,同本部の調査対象外の活断層での地震発生長期評価には多くの課題が残されている。各種の地震防災基礎情報の整備状況も踏まえ、2005年度以降の活断層調査の方向性を探る。 |
8 |
渡邊基史・佐藤俊明(清水建設和泉研究室) |
経験的地盤増幅度と距離減衰式による2003年7月26日宮城県北部の地震の震度分布シミュレーション(約1.7MB) |
7/26の宮城県北部の地震に対し、経験的地盤増幅度と最大速度の距離減衰式、震源インバージョンにより得られた断層面を用いて面的震度分布を推定し、観測された震度とよく対応した結果を得た。また、震源近傍の震度5強以上の領域の推定には、断層位置(大きさ・深さ)の適切な評価が必要であることが確認された。 |
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小野 康・丹羽俊二・福島康博(国土地理院) |
宮城県北部地震による低地の家屋被害と土地条件 |
河南町広淵の砂州上とその近くの盛り土上の建物の被災率に著しい差が認められたので報告する。砂押地区の建物は水田に盛り土をして50年位前に建てたものが多いが、被災率は55%に達する。一方、柏木と町地区の集落は砂州上に発達し、集落の立地は砂押地区より古いが、被災率は8%程度であった。 |
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宮城豊彦(東北学院大・文)・森脇 寛・井口 隆・内山庄一郎(防災科学技術研究所)・大平宏和(東北学院大・学) |
宮城県で発生した二つの地震による高速流動型地盤災害(速報) |
今年5月と7月に宮城県で発生した二つの地震に際して、半固結堆積岩類からなる丘陵地の、農地造成を目的とした人工改変地の谷埋め部で、高速流動型の土砂崩れが発生した。このタイプの土砂崩れは、規模に較べて破壊力が大きい点が特に注目される。本報告では、人工改変地が有する高速土砂流動の潜在性も含めて速報としたい。 |
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村山良之・平野信一・松本秀明(東北大・理)・増田 聡(東北大・経)・佐藤 健・源栄正人(東北大・工)・柴山明寛(工学院大・院) |
2003年7月26日宮城県北部の地震による建物被害分布の特徴 |
建物被害状況を広範囲で把握し、地震動等と建物被害の関係を明らかにすることを目的とし、日本建築学会東北支部災害調査WGとして、2003年7月29日〜8月8日までの11日間、2,656棟について、現地調査を実施した。既存研究を基に簡易被害判定を含む調査票を独自に作成した。その調査結果について紹介する。 |
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平野信一・松本秀明・村山良之(東北大・理)・増田 聡(東北大・経) |
2003年7月26日宮城県北部の地震による旭山丘陵周辺の地盤変状と建物被害 |
震源域の直上にあたる旭山丘陵とその周辺では、住宅地内に亀裂や沈下が数多く発生した。河南町北村地区について、建築学会の建物被害調査に地盤変状を加え、それを解析した結果、建物被害に関連する要因として、建築年代に加えて地盤変状の有無が関与することが示唆された。 |
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牛山素行(東北大・災害制御研究センター) |
2003年7月26日宮城県北部の地震による斜面崩壊の発生状況 |
宮城県河南町、矢本町、鳴瀬町を調査対象に、地震によって発生した斜面崩壊を調査し、以下の結果を得た。(1)対象地には防護工事の行われていない切り土斜面が多数あるが、そのほとんどは最近約30年間に形成された(約180箇所)、(2)戦後の開田地のうち、特に斜面勾配の急な箇所で地すべり状崩壊が発生していた。 |
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金 幸隆・中村洋介(京都大・院) |
2003年7月26日宮城県北部の地震が誘発した地滑り分布の特徴と活構造--速報-- |
本研究の目的は、地震が誘発した地滑りの分布域と断層の破壊領域との整合性を検証することである。地震発生の5日後から6日間、地滑りの分布・規模・タイプ・地質・露頭タイプ、聞き取りの調査を実施した。調査地域は旭山丘陵とその周辺の丘陵地で、230地点において地滑りを観察した。その解析経過を発表する。 |